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東京オリンピック アクアティクスセンター 国際水泳連盟 マルクレスク事務総長 水泳場 東京辰巳国際水泳場 

2016年10月27日 10時19分33秒 | 東京オリンピック




オリンピックアクアティクスセンターは規模縮小で建設検討か? 
国際水泳連盟・小池都知事会談

 2016年10月25日、国際水泳連盟(FINA)のNO2、コーネル・マルクレスク事務総長(ルーマニアの元水球選手)は、小池都知事と会談し、小池都知事が「アスリートファーストの精神で、また都民の皆さん、納税者の皆さまが納得する素晴らしい大会にしていきたい」と整備費を削減する“都民ファースト”を強調したのに対し、マルクレスク事務総長は「オリンピックのための会場というよりレガシーこそが一番重要なものだ。 東京に施設を考えると、新しいアクアティクスセンターのニーズがあるのは明確で、アクアティクスセンターは必要不可欠だ」と述べ、現行通り、アクアティクスセンターを建設することを要望した。
 これに対して、小池都知事は、「オリンピックが終わった後、どのようにランニングコストを含め効果があるのか見極めているところだ。減築コストとランニングコストとどう見合いにか研究している」と答えた。
 会談が終了間際で、小池知事は「シートの数ですが?」としたのに対し、マルクレスク事務総長は「1万5000席に減らしても大丈夫だ。私たちの意見は一緒であるべきだ」と小声で囁いていたのが、カメラのマイクで収録されてニュースで報道された。現行の計画では、アクアティクスセンターの観客席数は2万席、これを1万5000席に縮小することを打診していたようである。
 またマルクレスク事務総長は、「観客席を減らせば屋根も低く出来てコストも抑えられる。我々の建築家とあなた方の建築家で、とくかく一緒に考えよう。是非いっしょにやろう」と小池都知事に囁いた。(10月26日 グッドモーニング テレビ朝日)
 オリンピック アクアティクスセンターは、招致ファイルでは、整備費は約321億円、その後の東京都の見直しで倍以上の約683億円に膨れ上がった。
 会場の観客席は2万席を予定し、五輪開催後は1万2000席に減築する計画である。しかし、この減築工事は、巨大な屋根を下げて、3階の観客席を取り払うという大がかりなもので、工事費は約74億円とされ、批判を浴びていた。
 都政改革本部調査チームは、約683億円の巨額な整備費の見直しを求め、観客席2万席は過大だとして、アクアティクスセンターの規模を縮小するか、隣接している東京辰巳国際水泳場(現計画 水球会場)を改修することなどを提案した。
 これに対し、東京都は、すでに予定価格より68億円安く契約ができたことに加えて、観客席などの減築工事取りやめや工事中の警備費削減などで最大170億円を削減し、約513億円という整備費の試算を明らかにした。


“混迷” オリンピックアクアティクスセンター
 オリンピックアクアティクスセンターは、「競泳」、「シンクロナイズド・スイミング」、「飛び込み」で使用可能で、大規模な国際大会が開催可能な“国際水準の水泳場”として整備計画が立てられた。
 しかし、整備費も招致計画では総工費321億円としていたがその後の見直しで683億円と約倍以上経費が膨れ上がり、巨額の税金を投じて、なぜ近接した場所に東京辰巳国際水泳場があるのに「二つ」も整備するのか、疑問の目が向けられていた。
 東京辰巳国際水泳場は、1993年に開館し、世界水泳や五輪選考会など国内外の主要大会が開かれてきた水泳競技の“聖地”。50メートルのメインとサブのプール、飛び込みのプールがあり、一般にも開放している。事業費は181億円、維持費は年間4億7000万円。2008年には、五輪競泳の金メダリスト北島康介選手が、200メートル平泳ぎで世界新記録を出したことで有名な水泳競技場である。
 ところが、辰巳水泳場は、観客席が3600席しかなく、仮設席も含めても5000席が限界である。国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準は観客席1万2000席、この基準を満たすためには、大幅な拡張工事が必要だが、建物が運河に面していて工事は不可能とされていた。
 また辰巳水泳場は、水深が両サイドの約半分は2メートルしかなく、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準「水深2メートル」は満たしているが、推奨基準「水深3メートル」は満たしていない。「水深2メートル」の部分があるとシンクロナイズドスイミングの競技開催では支障がでるとされている。
 さらに辰巳水泳場は、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準、コース幅2.5メートルも満たしていない。
 このため東京都は、一回り大きい“国際水準の水泳場”としてオリンピックアクアティクスセンターを新設することとし、辰巳水泳場は水球会場として使うことにした。オリンピックアクアティクスセンターは、大会開催時は2万席を確保、大会後は、通常時は5000席に縮小し、国際大会開催時には、1万席から最大1万5000席(仮設席を含む)とした。しかし水泳競技の対規模な国際大会は、年に1回、開催されるかどうかで、国内大会では、観客数は2700人程度(平均)とされている。(都政改革本部調査チーム)
 「2万席」から「5000席」に減築する経費も問題視されている。
 今の整備計画では、総額683億円の内、74億円が減築費としている。
 一方、維持費は、減築前は7億9100円、減築後は5億9700万円と、減築による削減額はわずか年間2億円程度としている。減築費を償却するためにはなんと37年も必要ということになる。批判が起きるのも当然だろう。
 水泳競技施設の維持費も考えなければならない。辰巳水泳場だけでも年五億円弱の維持費が必要で、新設されるオリンピックアクアティクスセンターの年6億円弱の二施設分の維持費、11億円程度が毎年必要となり、巨額の維持費の負担が必要となる。水泳競技場は赤字経営が必至で、税金で補てんされることになるのだろう。
 次世代の“負の遺産”がここにも生まれそうだ。


小池知事 調査チームの見直し案を“四者協議”に提案へ
現行計画を軸に経費削減が焦点に

2016年 11月1日、都政改革本部の会合が開かれ、経費削減に向けた競技会場の見直し案の最終報告が示された。
 ボート・カヌーの競技会場については、海の森水上競技場の建設計画を見直して経費削減を行った上で恒久施設として整備する案と、観客席などを“仮設施設並み”にする「仮設レベル」として整備する案、さらに長沼ボート場に変更する案の3つの案について建設費や施設維持費などを示した。
 「恒久施設」案では328億円、「仮設レベル」では298億円に削減できるとしている。
 水泳会場については、東京辰巳国際水泳場に会場変更する案も示していたが、観客席の拡張工事ができないとして断念した。 オリンピックアクアティクスセンターについては、観客席の「減築工事」を取りやめて、2万席のままで整備するか案と、はじめから1万5000席に縮小して整備する案を提示した。
 当初は683億円としていた整備費用は2万席の場合は530億円、1万5000席の場合は470億円から512億円に削減できるとしている。
 バレーボールの会場については、有明アリーナを規模縮小して整備する案と、「有明アリーナ」の新設を取りやめ「横浜アリーナ」を活用する案を示した。
 現行では404億円としていた有明アリーナの整備費用について、建設工事費やセキュリティー対策の費用を圧縮することで、30億円から34億円程度のコスト削減が見込めるとしている。
 「横浜アリーナ」を活用する案について、報道機関向けの設備やスペースの確保に課題はあるが、立地がよくコストも限定的であることから、大会会場の選択肢として引き続き検討することを提案した。
 報告書では、3つの競技会場について規模を縮小して整備した場合、最大で約440億円のコストが削減できるとしている。
 小池知事はこれらの複数の案を、都の提案として採用することを表明し、今日の“4者実務者協議”に提案する。
 IOCも経費削減には積極的に取り組まざるを得ないため、協議は現行計画を軸にどこまで経費圧縮できるかが焦点になるだろう。







オリンピック アクアティクスセンター 東京都オリンピック・パラリンピック準備局


東京辰巳国際水泳場 Wikipedia





2016年10月27日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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